EVバッテリー市場の王者・中国!主要企業・世界シェア・規制・未来戦略とは?

(*本記事は2025年2月12日時点の情報に基づいて執筆されています。)

1. はじめに:急成長する中国の電池産業

近年、中国の電池業界は飛躍的な成長を遂げています。特に電気自動車(EV)向けのバッテリー市場では、中国メーカーが圧倒的な存在感を示しており、世界市場の約66%を占めるまでに至っています。この急成長の背景には、政府の積極的な補助政策、電池技術の進歩、大規模な生産能力の拡張が挙げられます。

中国政府はEVの普及を促進するため、ナンバープレートの優遇措置や補助金、インフラ整備支援を展開してきました。さらに、国内メーカーが技術開発に積極的に投資し、エネルギー密度の向上や低コスト化を実現したことも市場拡大に貢献しています。本記事では、中国の電池業界の主要プレイヤー、政府の支援策、世界シェア、各国の規制、海外展開、中国以外のメーカーの動向について解説し、今後の展望を探ります。

2. 中国の主要バッテリーメーカー

中国の電池業界は複数の大手企業によって牽引されています。特に以下の5社は市場の中核を担っています。

2.1 CATL(寧徳時代)

世界最大のEV用バッテリーメーカーで、2024年時点で市場シェアは約38%です。テスラ、フォルクスワーゲン、BMWなどのグローバル企業と提携し、高性能なリチウムイオン電池を提供しています。また、欧州進出も積極的に進めており、ドイツ(エアフルト)、ハンガリー(デブレツェン)、スペイン(サラゴサ)に工場を建設し、2026年にはLFP電池工場の稼働を予定しています。

2.2 BYD(比亜迪)

車両とバッテリーの両方を製造する企業で、2023年には中国国内のEV販売でトップの座を獲得しました。独自開発の「ブレードバッテリー」により、安全性とコスト面での競争力を確保しています。

2.3 CALB(中創新航)

中国国内でCATL、BYDに次ぐ規模を誇ります。2024年の世界市場シェアは約4.4%で、欧州や東南アジア市場への進出を加速させています。

2.4 Gotion High-Tech(国軒高科)

フォルクスワーゲンが約26%の株式を保有する企業で、リン酸鉄リチウム(LFP)電池に強みを持っています。

2.5 SVOLT(蜂巣能源)

長城汽車から独立したバッテリーメーカーで、コバルトフリー電池の開発を進めるなど、革新的な技術を展開しています。

3. 中国政府の支援策

中国政府はEV産業の成長を支えるため、以下のような政策を展開しています。

  • 購入補助金:EVのバッテリー容量に応じた補助金制度(2022年末に中央政府の補助金は終了)
  • 購入税の免除:2025年までNEV(新エネルギー車)への税金免除措置
  • ナンバープレートの優遇:北京、上海などの都市部でEVのナンバープレート取得を無料化
  • 充電インフラの整備:充電ステーションの拡大支援
  • 設備投資補助:バッテリー工場の建設支援、低金利融資、土地提供

4. 世界シェアと各国の規制

4.1 世界市場における中国のシェア

中国メーカーは世界のEVバッテリー市場で圧倒的なシェアを誇り、約66%を占めています。特にCATLとBYDの2社で50%以上をカバーしています。

4.2 各国の輸入規制

近年、中国製バッテリーの輸入規制が強まっています。

  • 米国:関税引き上げや国内生産優遇策を強化
  • EU:中国製バッテリーの市場独占を防ぐための監視強化
  • 日本:経済安全保障の観点から中国依存の見直しを進めています。

5. 中国メーカーの海外展開

中国企業は各国の規制に対応するため、海外生産拠点の拡大を進めています。

  • CATL:ドイツ、ハンガリー、スペインに工場を建設し、欧州市場への供給を強化
  • Gotion High-Tech:スロバキアでバッテリー工場を設立

6. 中国以外のメーカーの動き

  • テスラ(米国):バッテリーの内製化を推進
  • LGエナジーソリューション(韓国):北米市場向けに生産拠点を拡大
  • パナソニック(日本):EVバッテリーの高性能化に注力
  • トヨタ(日本):全固体電池の開発を推進し、2027年の実用化を目指しています。長寿命かつ高速充電が可能な新技術でEV市場に革新をもたらすことを狙っています。

7. まとめ:中国の一強時代は続くのか?

中国の電池業界は世界市場の大半を支配していますが、各国の規制強化や地政学的リスクの高まりにより、今後は海外展開の成否が鍵となります。すでに中国メーカーは海外生産拠点を拡大し、欧米市場でのプレゼンスを高めていますが、各国政府が国内メーカーを支援する動きもあり、競争環境は激化する可能性があります。

今後、中国メーカーが世界市場での競争力を維持できるかどうかは、技術革新や現地生産の拡充にかかっています。今後の規制動向や中国メーカーの進出戦略に注目していきたいです。

参考サイト(情報元)

  1. Reuters(ロイター)
    https://jp.reuters.com
    → 世界のバッテリーメーカーの市場シェアや各国の規制動向に関する情報
  2. JETRO(日本貿易振興機構)
    https://www.jetro.go.jp
    → 中国のEV産業の動向、政府の補助政策、海外展開についてのレポート
  3. Nikkei Asia(日経アジア)
    https://asia.nikkei.com
    → 中国のバッテリーメーカーの技術革新や世界展開についての最新情報
  4. Bloomberg(ブルームバーグ)
    https://www.bloomberg.com
    → EV市場のトレンドや各国のEV政策に関する分析記事
  5. InsideEVs
    https://insideevs.com
    → EV用バッテリーの技術進化、各メーカーの新製品情報を掲載
この記事を書いた人
ひろ部長

海外で働きながら、経済・政治・宗教を中心に情報を発信しています。現在はフランスを拠点に、ヨーロッパ各国の政治制度や社会の動向を分析し、データベースのように体系的にまとめることを目指しています。

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