政府はなぜ減税をしないのか? 財務省の本音と経済成長の可能性

(*本記事は2025年2月17日時点の情報に基づいて執筆されています。)

1. 日本の財政の現状

日本の財政は、一般会計と特別会計の二つで構成されています。2023年度の一般会計予算は約114.3兆円、特別会計を含めた歳出総額は約441.9兆円に上ります。しかし、特別会計には一般会計との重複があるため、実質的な歳出純計額は253.6兆円とされています。

この253.6兆円は、名目GDP(609.3兆円)の約41.62%に相当します。つまり、国民が生み出した所得の約42%が政府の支出として使われていることになります。これは、経済成長を考える上で非常に重要な指標です。

自分が稼いだ給料の4割以上が税金や社会保障としてひかれている現実は、非常に負担が重く、税負担を軽くしたいと考えるのは当然です。しかし一方で巨額な債務残高があることを理由に減税の流れになかなか進みません。

財政が持続可能かどうかを考える際に、単に「政府の借金が多い」とするのではなく、「歳出の規模がGDPと比べてどの程度なのか?」を見ることが必要です。


2. 日本の債務残高と減税の可能性

政府の財政には、国債による巨額の債務残高があります。しかし、日本の国債は主に国内で保有され、国債金利も極めて低いため、利払い負担はG7諸国の中でも最も低い水準にあります。このため、適切な経済成長が実現すれば財政の持続可能性を高めることが可能です。

このような状況下で、一時的な減税が有効な手段となる可能性があります。一時的な減税を行うことで可処分所得が増え、消費が活性化し、企業の投資も増えるため、結果的にGDPの成長につながり、長期的な税収増をもたらす可能性が高いです。

減税は単に「税収を減らす」政策ではなく、成長を促し、最終的には税収を増やすための施策とも言えます。


3. 減税が進まない6つの理由

では、なぜ日本では一時的な減税が政策として進まないのでしょうか?その背景には、政治的・財政的・制度的な6つの要因が挙げられます。

① 財務省の「短期的な税収減を避ける」方針

財務省は「財政赤字の拡大を防ぐ」ことを最優先にし、短期的な税収減を嫌う傾向があります。減税による経済成長の効果が現れるまでには時間がかかるため、財務省は減税よりも増税を好む傾向にあります。

② 政治家が短期的な成果を求める

減税の効果が出るまでには時間がかかります。一方で、政治家は選挙を意識するため、即効性のある政策(補助金、給付金など)を優先する傾向があります。これは、減税のような長期的な視点での政策が後回しにされる要因となっています。

③ 「日本の財政破綻論」が強調される

メディアや政府の発信によって「日本は借金まみれで減税などできない」というイメージが広がっています。実際には、日本の国債は国内で消化され、国債利払い費はG7でも最低レベルですが、こうした情報が一般には十分伝わっていません。

④ 官僚・地方自治体・政治家が「税収増」を好む

政府や地方自治体にとって、税収増は権限拡大につながるため、財政当局は減税よりも増税や新たな財源確保を好む傾向があります。特に地方自治体は交付金などを求めるため、政府が増税に傾きやすい背景があります。

⑤ 過去の減税が中途半端で成功事例が少ない

日本では過去に減税が実施されたことがありますが、その後すぐに増税されるケースが多く、「減税→経済成長→税収増」という成功体験がほとんどありません。そのため、「減税しても結局増税されるのでは?」という懸念があり、減税が信頼されにくいのです。

⑥ 成長を前提とした財政運営が議論されていない

現在の日本の財政運営は、経済成長を前提にしていない点が問題です。「増税による財政健全化」ばかりが議論され、「成長を促すことで税収を増やす」という視点が欠けています。


4. 変わりつつある世論:SNSの普及と新たな議論

かつては政府やメディアの発信が主流でしたが、最近ではSNSの普及によって、財政や税制に関する議論が活発化しています。特に、

  • 国債の実態や利払いの低さ
  • 財務省の増税路線の問題点
  • 経済成長による税収増の可能性

などがネット上で議論されるようになり、従来の「財政破綻論」だけではなく、「成長戦略としての減税」の可能性も注目され始めています。


5. これからの政治と私たちの行動

日本の財政や税負担の問題は、政府の決定によるものだけではなく、私たちの投票行動によっても大きく変えることができます

これからの政治において、

  • 減税による経済成長の可能性を正しく理解すること
  • 短期的な視点ではなく、長期的な視点で財政政策を評価すること
  • 政治家や政党が掲げる税制改革案を慎重に見極めること

が求められます。

日本の未来の財政政策において、私たちがどのような税制を望むのかを考え、次の選挙で意思を示すことが、政策の方向性を決める鍵となります。

SNSやさまざまな情報を通じて学び、自分なりの意見を持ち、日本の未来を考えていきましょう。

参考サイト

  1. 財務省公式サイト
    https://www.mof.go.jp
    (日本の財政状況、税収、歳出に関する公式データ)
  2. 日本銀行(日銀)
    https://www.boj.or.jp
    (金融政策、金利、経済成長に関する情報)
  3. OECD(経済協力開発機構)
    https://www.oecd.org
    (G7各国の財政状況や経済成長率の国際比較データ)
  4. IMF(国際通貨基金)
    https://www.imf.org
    (日本と他国の財政状況・債務比率に関する国際データ)
  5. 日経新聞・東洋経済・ダイヤモンドオンライン
この記事を書いた人
ひろ部長

海外で働きながら、経済・政治・宗教を中心に情報を発信しています。現在はフランスを拠点に、ヨーロッパ各国の政治制度や社会の動向を分析し、データベースのように体系的にまとめることを目指しています。

このブログでは、ニュースの表面的な報道にとどまらず、歴史的背景や各国の制度的な違いに着目し、独自の視点で解説します。特に欧州政治に関心がある方や、海外のリアルな情報を知りたい方に役立つ内容をお届けします。

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